■辰巳ダム■
流量確率評価について
(天神橋基準点の基本高水ピーク流量710m3/秒)
◆2008年5月1日:流量観測年数35年(昭和48年〜平成19年まで)から流量確率解析
 浅野川で35年間の流量データが蓄積されていることから、流量データを確率統計処理することにより、1/100確率規模の流量を求めた。
流量確率の検討(統計期間:天神橋測水所は昭和48年〜平成19年の35年間、浅野川放水路地点は昭和50年〜平成19年の33年間、放水路からの放流無しの場合の流量)の結果、天神橋基準点における1/100確率規模の流量は、417m3/秒〜498m3/秒の範囲にあり、確率水文学的に妥当な推定値は430m3/秒である。
 石川県が計画した天神橋基準点における基本高水ピーク流量710m3/秒は、1/400確率規模程度の流量と推定される。
 評価結果は→ワードファイル「流量確率による評価結果(天神橋基準点の基本高水ピーク流量710m3/秒)」

以下に、流量確率による評価に関する文書を掲載する。ワードファイルは、「流量確率による評価について(天神橋基準点の基本高水ピーク流量710m3/秒)」
流量確率による評価について
(天神橋基準点の基本高水ピーク流量710m3/秒)

1.流量確率による評価
 天神橋基準点の基本高水ピーク流量を30年間の流量観測記録によって流量確率による評価を行う。使用するソフトウェアは、財団法人国土技術研究センターの「水文統計ユーティリティVersion1.5」である。

2.流量観測記録年数
 使用する流量データおよび観測記録年数は以下のとおりである。
 天神橋測水所は昭和48年〜平成19年の35年間、
 浅野川放水路地点は昭和50年〜平成19年の33年間、それ以前は放水路がない。
 統計期間は、35年間とする。

3.天神橋地点の毎年最大流量
 昭和50年、田上地点に浅野川放水路が完成し、浅野川の洪水の一部をこの放水路を通じて犀川へ放流している。天神橋測水所の観測流量に浅野川放水路の分流量を加算したものが、天神橋基準点流量である。時間的なズレについては無視して、ピーク値を使用した。角間川の影響が比較的小さく、田上地点でのピークがほぼ、天神橋地点のピークとなって現れると考える。
 昭和48年から毎年最大流量の候補の一覧を表A-1、毎年最大の一覧を表A-2、毎年最大の一覧を犀川大橋基準点で大きい流量から順に並べ替えたものを表A-3に示す。
 表A-1 天神橋基準点流量(毎年最大候補;放水路の放流無し)
 表A-2 天神橋基準点流量(毎年最大;放水路の放流無し)
 表A-1 天神橋基準点流量(毎年最大、並べ替え;放水路の放流無し)

4.水文統計ソフトによる計算 
 30年間の流量観測記録にもとづいて、財団法人国土技術研究センターの「水文統計ユーティリティVersion1.5」によって、100年確率推定値を計算する。
 100年のほかに、150、200、400年についても計算する。
 また、流量観測記録年数によって、100年確率推定値がどの程度異なるか、少なくともどの程度の年数があれば、推定値が収束傾向を示すかを調べるため、10、20、25、30、35年間について計算した。

4.1 計算結果
 入力データ、出力データはつぎのとおりである。
 入力データ  天神橋基準点流量(35年間の毎年最大)→クリック
 出力データ  観測記録年数10年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック
  観測記録年数20年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック
  観測記録年数25年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック
  観測記録年数30年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック
  観測記録年数35年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック

4.2 100年確率推定値
 観測記録年数35年の解析結果から推定する。推定値とデータとの適合度を判定する基準SlSC値が0.04以上になる場合は、計算過程で解が発散して信頼性がないものとして、その手法は除外した。残った手法は、以下の7つの確率分布モデルであり、それぞれ、1/100確率規模の流量は、
 Exp:指数分布 428m3/秒
 Gev:一般化極値分布 463m3/秒
 LogP3:対数ピアソンV型分布(対数空間法) 474m3/秒
 Iwai:岩井法 417m3/秒
 IshiTaka:石原・高瀬法 430m3/秒
 LN3Q:対数正規分布2母数(SladeI、L積率法) 498m3/秒
 LN3PM:対数正規分布2母数(SladeI、積率法) 433m3/秒
 であり、417〜498m3/秒と推定される。

 この範囲から、さらに確率水文学的に最も妥当な流量を決定するには、SLSC値0.02代の手法を選択し、そのうちからJackKnife推定誤差が最も小さいケースを選べばよい。SlSC値が0.03未満の手法が5ケース(Gev,LogP3 ,Iwai,IshiTaka,LN3Q)あり、そのうちでJackKnife推定誤差が73と最も小さいIshiTaka法の430m3/秒が、求める1/100確率規模の流量である。

4.3 100〜400年確率流量
 前項と同様の考え方で整理すると以下のようになる。
 1/100確率規模の流量は、417m3/秒〜498m3/秒
 1/200確率規模の流量は、483m3/秒〜600m3/秒
 1/400確率規模の流量は、542m3/秒〜715m3/秒
 石川県が計画した天神橋基準点における基本高水ピーク流量710は、1/400確率規模の流量と推定される。

4.4 流量観測記録年数(10、20、25、30、35年間)別の分析
 流量観測記録年数別に整理した表、推定値の収束傾向を確認するための図を以下に示す。
 表―流量観測記録年数別の各種確率分布モデルによる天神橋基準点100年確率流量推定値→クリック
 図―流量観測記録年数別の各種確率分布モデルによる天神橋基準点100年確率流量推定値(最小値/最大値)→クリック
 表と図によれば、最小値が400、最大値が500前後に収束傾向があるように見える。基本高水ピーク流量の59〜70%程度である。

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