■辰巳ダム■
流量確率評価について
(犀川大橋基準点の基本高水ピーク流量1750m3/秒)
◆2008年5月1日:流量観測年数30年(昭和53年〜平成19年まで)から流量確率解析
  犀川で30年間の流量データが蓄積されていることから、流量データを確率統計処理することにより、1/100確率規模の流量を求めた。
 流量確率の検討(統計期間:下菊橋測水所(犀川大橋直上流)は昭和53年〜平成19年の30年間、犀川ダム地点は昭和41年〜平成19年の42年間、内川ダム地点昭和49年〜平成19年の34年間、浅野川放水路地点は昭和50年〜平成19年の33年間、ダム調整無し、放水路からの放流無しの場合の流量)の結果、犀川大橋基準点における1/100確率規模の流量は、803m3/秒〜880m3/秒の範囲にあり、確率水文学的に妥当な推定値は803m3/秒である。
 石川県が計画した犀川大橋基準点における基本高水ピーク流量1750m3/秒は、1/3000確率規模の流量と推定される。
 評価結果は→ワードファイル「流量確率による評価結果(犀川大橋基準点の基本高水ピーク流量1750m3/秒)」


以下に、流量確率による評価に関する文書を掲載する。ワードファイルは、流量確率による評価について(犀川大橋基準点の基本高水ピーク流量1750m3/秒)」
流量確率による評価について
(犀川大橋基準点の基本高水ピーク流量1750m3/秒)

1.流量確率による評価
 犀川大橋基準点の基本高水ピーク流量1750m3/秒を30年間の流量観測記録によって流量確率による評価を行う。使用するソフトウェアは、財団法人国土技術研究センターの「水文統計ユーティリティVersion1.5」である。

2.流量観測記録年数
 使用する流量データおよび観測記録年数は以下のとおりである。
 下菊橋測水所(犀川大橋直上流)は昭和53年〜平成19年の30年間
 犀川ダム地点は昭和41年〜平成19年の42年間
 内川ダム地点昭和49年〜平成19年の34年間
 浅野川放水路地点は昭和50年〜平成19年の33年間
 統計期間は、下菊橋測水所の観測年数で制約され、30年間とする。

3.犀川大橋地点の毎年最大流量
 昭和40年に犀川ダム、昭和49年に内川ダムが完成し稼働している。犀川の洪水時には、これらの治水ダムによって洪水調節が行われている。さらに、昭和50年からは、田上地点に浅野川放水路が完成し、浅野川の洪水の一部をこの放水路を通じて犀川に受け入れている。したがって、下菊橋測水所の観測流量に犀川ダムと内川ダムの洪水調節量を加算し、浅野川放水路の分流量を減算したものが、犀川大橋基準点流量である。時間的なズレについては無視して、ピーク値を使用した。したがって、ダム調節量について最大値を加算するので犀川大橋地点の流量は大きくなる要因として働き、放水路の分流量については最大値を減算するので犀川大橋地点の流量は小さくなる要因として働くことになる。両方を勘案すると、求めるべき流量に近似すると考えた。
 昭和53年から毎年最大流量の候補の一覧を表S-1、毎年最大の一覧を表S-2、毎年最大の一覧を犀川大橋基準点で大きい流量から順に並べ替えたものを表S-3に示す。
 表S-1 犀川大橋基準点流量(毎年最大候補;ダム調節無し、放水量を含まず)
 表S-2 犀川大橋基準点流量(毎年最大;ダム調節無し、放水量を含まず)
 表S-1 犀川大橋基準点流量(毎年最大、並べ替え;ダム調節無し、放水量を含まず)

4.水文統計ソフトによる計算 
 30年間の流量観測記録にもとづいて、財団法人国土技術研究センターの「水文統計ユーティリティVersion1.5」によって、100年確率推定値を計算する。
 100年のほかに、150、200、400、600、800、1000、1500、2000、3000年についても計算する。
また、流量観測記録年数によって、100年確率推定値がどの程度異なるか、少なくともどの程度の年数があれば、推定値が収束傾向を示すかを調べるため、10、20、25、27、29、30年間について計算した。

4.1 計算結果
 入力データ、出力データはつぎのとおりである。
 入力データ  犀川大橋基準点流量(30年間の毎年最大)→クリック
 出力データ  観測記録年数10年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック
  観測記録年数20年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック
  観測記録年数25年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック
  観測記録年数27年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック
  観測記録年数29年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→リック
  観測記録年数30年の場合(水門ソフトの結果読み込み1の形式)→クリック
  観測記録年数30年の場合(水門ソフトの結果読み込み2の形式)→クリック

4.2 100年確率推定値
 観測記録年数30年の解析結果から推定する。推定値とデータとの適合度を判定する基準SLSC値が0.03未満が望ましいが、ここではすべて0.03以上である。0.04以上になる場合は、計算過程で解が発散して信頼性がないものとして、その手法は除外した。SLSC値残った手法は、以下の5つの確率分布モデルであり、それぞれ、1/100確率規模の流量は、
 Gev:一般化極値分布 858m3/秒
 LP3Rs:対数ピアソンV型分布(実数空間法) 830 m3/秒
 LogP3:対数ピアソンV型分布(対数空間法) 880 m3/秒
 LN2LM:対数正規分布2母数(SladeI、L積率法)813 m3/秒
 LN2PM:対数正規分布2母数(SladeI、積率法) 803 m3/秒
 であり、803〜880m3/秒と推定される。

 この範囲から、さらに確率水文学的に最も妥当な流量を決定するには、このうちからJackKnife推定誤差が最も小さいケースを選べばよい。JackKnife推定誤差が156と最も小さいLN2PM法の803m3/秒が、求める1/100確率規模の流量である。

4.3 100〜3000年確率流量
 前項と同様の考え方で整理すると以下のようになる。
 1/100確率規模の流量は、803m3/秒〜880m3/秒
 1/200確率規模の流量は、918m3/秒〜1033m3/秒
 1/400確率規模の流量は、1039m3/秒〜1201m3/秒
 1/1000確率規模の流量は、1209m3/秒〜1449m3/秒
 1/2000確率規模の流量は、1345m3/秒〜1659m3/秒
 1/3000確率規模の流量は、1429m3/秒〜1791m3/秒
 石川県が計画した犀川大橋基準点における基本高水ピーク流量は、1/3000確率規模の流量と推定される。

4.4 流量観測記録年数(10、20、25、27、29、30年間)別の分析
 流量観測記録年数別に整理した表、推定値の収束傾向を確認するための図を以下に示す。
 表―流量観測記録年数別の各種確率分布モデルによる犀川大橋基準点100年確率流量推定値→クリック
 図―流量観測記録年数別の各種確率分布モデルによる犀川大橋基準点100年確率流量推定値(最小値/最大値)→クリック
 表と図によれば、最小値が800、最大値が1000前後に収束傾向があるように見える。基本高水ピーク流量の46〜58%程度である。


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